既存の労働基準法第34条第3項を継承した労働者退職給付保証法第8条第2項は、「使用者は労働者の要求がある場合には、労働者が退職する前に当該労働者が継続して労働した期間に関する退職金をあらかじめ精算して支給することができる」とし、労働者の要求による退職金途中精算制度を規定している。退職金の途中精算は「労働者の要求」を要件とするため、団体協約や就業規則に根拠があるとしても個別労働者の具体的な要求がなければできず、途中精算を望む時点ごとに個別の要求がなければならない。退職金途中精算をすると、精算後の退職金算定のための継続勤務年数は精算時点から新たに起算される。ただし、退職金途中精算をしたからといって労働関係が新たに開始されるわけではないため、精算後に継続勤務年数が1年未満の場合でも全体の継続勤務年数は1年を超えているため、依然として期間比例して退職金を受け取ることができる。また、新たに起算される継続勤務年数は退職金算定に限定され、年次有給休暇、昇進、号俸、賞与等の算定のための継続勤務年数には影響しない。一方、退職金を月給与に含めて支給する年俸制が多くの問題を生んでおり、原則として退職金が月給与に含まれているという包括賃金約定は無効である。ただし、現実では退職金途中精算の名目で毎年退職金を精算し、これを12ヶ月分割して月給与に含めて支給する形式が慣行化されているが、雇用労働部はこれらの約定が有効であるための要件として①年俸額に含まれる退職金の金額が明確に定められており、毎月受け取った退職金の合計が途中精算時点を基準に労働者退職給付保証法第8条第1項(既存労働基準法第34条第1項)の規定によって算定された金額より少なくないこと、②退職金を途中精算受けた
い労働者の別個(労働契約書・年俸契約書以外の)要求があり、途中精算金を毎月分割して支給するという内容が明確に含まれていること、③途中精算対象期間は途中精算時点を基準にこれまで継続して労働した期間のみ該当するため1年未満勤続労働者は法定的退職金支給対象ではないため途中精算対象者ではないという点を挙げている(2006年7月より本指針施行)。