これまでの典型的な労働関係は、労働者を雇用した事業主が雇用従属性関係を持ち、労働者を直接使用する形態でした。しかし、労働者派遣制度とは、労働者派遣を業とする派遣事業主が労働者を雇用し、使用事業主という他人に労働者を使用させる制度です。
このとき、労働者と派遣事業主との関係は雇用従属性関係、労働者と使用事業主との関係は指揮命令関係の三角関係が発生します。派遣労働者は労務提供は使用事業主に対して行いますが、賃金や労災補償は派遣事業主から支払われます。派遣労働者に対する使用者の責任は派遣事業主と使用事業主が共同で負うのが原則ですが、派遣中の労働者の賃金、災害補償等に関する使用者の義務は派遣事業主が、労働時間、休憩、休日及び産業安全衛生法上の義務は使用事業主が負うように一定事項については使用者の義務を分離しました。
労働者の派遣は法令で定めた派遣対象業務に限られ、これ以外の業務に労働者を派遣した場合、派遣事業主と使用事業主の両方が刑事罰を受け、特に建設工事の現場業務等派遣絶対禁止業務等については、いかなる場合にも労働者派遣が禁止されます。労働者派遣制度は、派遣事業主が労働者を直接雇用して使用者の義務を負担し、他人に自己の労働者を使用させる制度で、単に求人者と求職者の間で雇用契約をあっせんする職業紹介とは異なり、仕事の完成を目的として自己の労働者を自ら直接指揮監督し、その仕事の成果に対して報酬を支払われる請負とも区別されます。
労働者派遣期間は、常時派遣が可能な業務は原則として1回に限り1年延長可能で、一時的理由による派遣の場合は3ヶ月以内にし、1回に限り3ヶ月延長可能です。
使用事業主が2年を超えて継続的に派遣労働者を使用する場合、2年の期間が満了した日の翌日から当該派遣労働者を使用事業主が直接雇用したものとみなします。したがって、使用事業主は2年以上派遣労働者を使用できません。